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三月十三日(曇り→雨)
ここ数日というもの、今の自分に何が足りないのか真剣に考えた。
答え、笑い。
実に単純な答えだ。
が、深刻だ、深刻なのだ、私にとっては。
世の中にはたくさんの笑いがある、苦笑、失笑、愛想笑い・・。
最近の私は腹を抱えて笑っていない。
これはよくない傾向だ。何か面白いことを探さなければ、面白くない人間になってしまう。私が。
面白くない人間になど、生きている意味がないではないか?・・・否、そんなことはないとも言い切れない(反語にもなってないよ)
危機感を覚えた私は、何か面白いことを探して、とりあえず本屋に走った。
なぜ本屋かといえば、本屋にはエッセイ本というものがあり、エッセイ本は大抵面白いからだ(だって面白く書かなければ売れないじゃない)
書架の前で悩むこと暫し。
・・・林望さん(の本はほとんど読んでしまったし)野田秀樹さん、三谷幸喜さん、宮沢章夫さん、もいいんだが、・・・なにか違う。今求めているものとのチョイ違う(このチョイは外すと大いなる失敗につながる重要なチョイなのよ)
思い切って新規開拓すべきなのか?と内なる葛藤に苛まれていたとき。
天啓がおりた。
みの作家さんを遡り、み。み。み・・三浦しをんさん。
彼女だ、もう彼女しかない。(某小説の麒麟が主を選定する時のような、平たく言えば直感ってやつよ)
私は憑かれたように棚の本を手にとってレジへ直行した。
中身の確認?もちろんしない。(だってこれは私の直感が決めたんだもの)
わざわざ吟味するまでもなく面白いにきまっている。
いつもは受け取るレシートすらスルーして、私は車へ急いだ。
自動ドアの『押してください』ボタンすらもどかしい気がして、ついダブルクリックしてしまった。
大体なんでこの店は自動ドアが二枚もあるんだ、店先にこんな無駄なスペースとってるんじゃないよ、まったく。
家に帰るまでの20分がおしくて、本屋から五分弱のところにある人気のない公園の駐車場で読書開始。
・・いやはや、笑った笑った。
人気のない場所でなかったら、奇声を発する怪しい車があるとかいってサツのお世話になっていたやも知れぬ。
正直、ここまで深刻な禁断症状などいまだかつてなかったから、どうしたものかと焦ったけれど、なんとか治まった。
はっはー、これは三浦先生には感謝しなくては。
しっかりと《笑い》をチャージした私は、少し遠回りをして、なんてことのない平日の午後の風景に面白いものを探して家路についた。
禁断症状が治まった私の目には、平日の午後の風景も新鮮に見え、いくつかのツッコミどころを見つけることができた(禁断症状のとき、こういうちょっとしたものを見落としていたと思うとやや悔しいね)
発見したいくつかのツッコミどころからひとつあげると
外は軽自動車を揺さぶる程度の強風(信号待ちをしていたら前の軽ワゴンが揺れていたの、たぶん私の車も揺れてるわね)
駐輪場の自転車がすばらしい勢いでドミノ倒しされている。(まるでピタゴラスイッチを見ているようで気持ちが良いわ)
そんな中、高校生が運転する一台の自転車が反対車線に見えた。
彼は前髪の具合が気になるらしく手でしきりに直しているようだ。
しかも両手で。彼はもちろん手放し運転である。危ないことこの上ないが、彼は自転車の安全なる運行よりも前髪が気になる様子で、一生懸命なでなでしている。
自転車に乗っていて、こんなにも風が強いのに前髪を気にするおしゃれへの気遣いに驚愕しつつも、手放し運転て傍からみるとなんてマヌケなんだろう。と笑ってしまいましたとさ。
さらに余談。
家に帰って幣にこの話をすると
「その子、禿てたんじゃない?」
という言葉が返ってきた。
普段は前髪で隠れている禿が強風で晒されてしまうのを恐れた結果、彼は無謀なる手放し運転で必死になっていたのではないか?
と、言うのである。
なるほどと私は納得した。
多感な思春期に前頭部に禿があったら隠したくもなろう。
きっと思春期特有のいろんな問題に、君のひ弱な毛根が耐えられなかったんだね。
大丈夫だ。最近はすばらしい効果の育毛剤がたくさんあるから。
(個人的にはミカンエキス配合のアレがお勧めよ)
かくして少年が禿ていることを前提にしたこの話は夕食の席を大いに盛り上げ(さいきん毛根の神に見放されつつある父は不在よ)、呆れていた母も(私と幣が爆笑しているわ)雰囲気に飲まれてよく笑った。
少年の禿が一時的なものであることを祈りつつ、合掌。